Gaddi's(ガディス）

−スエズより東で最高のフレンチレストランと讃えられた香港の顔−

　ペンシュラのガディスには過去３回行ったことがある。最初は１９８６年の大晦日。まだ、大英帝国の残像が残っており、手練の従業員のサービスに大層感激した。

　２回目は香港返還を数年後にひかえた１９９３年。前回行ったときの輝きは褪せており、日本人とみて従業員も高いワインをすすめてきた。

　さて、２００４年の再々訪。返還後初めて行く香港ではホテルの窓から見える毛沢東の写真や地下鉄の北京語のアナウンスに時代を感じたが、スターフェリーでの人いきれと港の匂いは以前のままだった。そして、ガディスは輝きを取り戻していた。いや、正確にはそれは新たな輝きというべきかもしれない。以前に来たことがあるとはなしを向ければ、まだ若い女性の黒服は誇らしげに、そして嬉しそうにガディスについて語り始めた。